ObsidianでPCとiPhoneをGitHubで連携する方法

2025/5/20

目次

はじめに

Obsidianはマークダウンファイルでのメモ管理に優れたアプリですが、複数デバイス間のメモ同期には有料サービス(Obsidian Sync)か、別の同期方法が必要です。この記事では無料でセキュアに使える「GitHub連携による同期方法」を初心者でも実践できるよう、ステップバイステップで解説します。

なぜGitHubでの同期がおすすめなのか

準備するもの

  1. GitHubアカウント(無料)
  2. PC(Windows/Mac)とiPhone
  3. それぞれのデバイスにObsidianアプリ

セットアップの全体フロー

  1. GitHubでリポジトリとPersonal Access Tokenを作成
  2. PCにGitHubリポジトリをクローン
  3. PCでObsidian「Git」プラグインを設定
  4. iPhoneでObsidian「Git」プラグインを設定
  5. 同期テストと確認

1. GitHubの準備(共通手順)

GitHubリポジトリの作成

  1. GitHub.comにアクセスしてログイン
  2. 右上の「+」ボタンから「New repository」を選択
  3. リポジトリ名を入力(例:obsidian-sync)
  4. 「Private」を選択してプライベートリポジトリに設定
  5. 「Create repository」をクリック

GitHub Private設定画面 GitHub Private設定画面

📢 プライバシー保護

必ずPrivate(非公開)設定を選択してください。Public(公開)設定のままだと、あなたの個人的なメモやノートが世界中の誰でも閲覧可能な状態になります。メモには個人情報や機密情報が含まれる可能性があるため、プライバシー保護のためにPrivate設定は必須です。

Personal Access Tokenの作成

  1. GitHub画面右上のプロフィールアイコンをクリック
  2. 「Settings」を選択
  3. 下にスクロールし、設定項目の一番下にある「Developer Settings」をクリック
  4. 左メニューから「Personal access tokens」をクリック
  5. 「Fine-grained tokens」を選択し「Generate new token」をクリック
  6. Token nameを入力(例:obsidian-git)
  7. Expirationで有効期限を設定
  8. Repository accessで「Only select repositories」にチェックし、作成したリポジトリを選択
  9. Permissionsの「Repository permissions」から「Contents」を「Read and write」に設定
  10. 「Generate token」をクリック
  11. 表示されたトークンを必ずメモまたはコピーして保存(再表示ができないので注意)

GitHub Personal Access Token設定画面 GitHub Personal Access Token設定画面

🔥 有効期限の設定について

初期設定では30日などの短期間に設定されています。トークンの有効期限が切れると同期ができなくなるため、長期的に使用する場合は「Custom」を選択し、3ヶ月〜1年程度の期間を設定することをおすすめします。ただし、セキュリティ上のリスクを考慮して、無期限(No expiration)ではなく定期的に更新できる期間を選びましょう。

2. PC側のセットアップ

リポジトリをローカルにクローン

WindowsでのGitクローン

  1. コマンドプロンプトを開く(スタートメニューから「cmd」と検索)
  2. 保存したいフォルダに移動(例:cd Documents

Macでのクローン

  1. ターミナルを開く
  2. 保存したいフォルダに移動(例:cd Documents

共通手順

Terminal window
git clone https://github.com/あなたのユーザー名/リポジトリ名.git
  1. ユーザー名とパスワードを求められたら、ユーザー名はGitHubのユーザー名、パスワードには先ほど作成したPersonal Access Tokenを入力

GitHub Desktopの利用(代替方法)

  1. GitHub Desktopをインストール
  2. GitHubアカウントでログイン
  3. 「Clone a repository」を選択し、作成したリポジトリをクローン

Obsidianの設定

  1. Obsidianを起動し「Open folder as vault」を選択
  2. 先ほどクローンしたフォルダを選択
  3. 新しいVaultが開いたら「.gitignore」ファイルを作成(メモ帳などで作成可)
  4. 以下の内容から必要なものを入力して保存
# Obsidianの設定全体を除外(プラグインとホットキー設定を含む)
.obsidian/
# または、プラグイン設定のみを除外(一部プラグインが機密データを公開するのを防ぐ)
.obsidian/plugins
# あるいは、ワークスペースキャッシュのみを除外
.obsidian/workspace.json
# モバイルデバイス特有のワークスペースキャッシュを除外
.obsidian/workspace-mobile.json
# OSの設定やキャッシュを除外
.trash/
.DS_Store

📢 なぜ.gitignoreファイルが重要か

.gitignoreファイルは、Gitで管理したくないファイルやフォルダを除外するための設定ファイルです。Obsidianの同期では以下の理由で追加が必須です:

  1. 設定ファイルの競合防止: .obsidian/workspace.jsonなどのファイルはデバイスごとに異なるため、これらを同期すると競合や不整合が発生します
  2. 不要なファイルの同期回避: 一時ファイルやキャッシュファイルを除外することでリポジトリの容量を節約し、同期速度が向上します
  3. 安定した同期環境の維持: 不要なファイルを同期しないことで、同期エラーや不具合の発生を減らし、安定した運用が可能になります

この設定をスキップすると、デバイス間で設定が上書きされ、表示の乱れやプラグインの不具合などが発生する可能性があります。

Gitプラグインの設定(PC)

  1. Obsidianの設定アイコン(⚙️)をクリック
  2. 左メニューから「コミュニティプラグイン」を選択
  3. 「コミュニティプラグインを有効化」をONに
  4. 「閲覧」ボタンをクリックし、検索欄に「Git」と入力(※旧名称「Obsidian Git」ではなく「Git」)
  5. 「Git」プラグインをインストールして有効化

初心者向けの基本設定

最初は以下の項目だけ設定すれば十分に使えるようになります:

  1. Auto commit interval: 10分
  2. Auto push interval: 10分
  3. Auto pull interval: 10分
  4. Pull on startup: ON
  5. Author name/email: GitHubアカウントと同じ情報

この5つの設定だけで、基本的な同期機能を使いこなせるようになります。

Obsidian Gitプラグイン設定画面 Obsidian Gitプラグイン設定画面

Gitプラグイン設定項目一覧

Obsidian Gitプラグインの設定項目を実際の設定画面に表示される順序通りに整理しました。

基本設定(自動同期関連)

設定項目内容説明推奨設定
Split timers for automatic commit and syncコミットと同期の時間間隔を別々に設定可能ON (有効)
Auto commit interval (minutes)X分ごとに変更を自動コミット(0で無効)10分
Auto commit after stopping file editsファイル編集停止後に自動コミットON (有効)
Auto commit after latest commit最新コミット時刻を基準に自動コミット頻度を調整通常は無効
Auto push interval (minutes)X分ごとに自動プッシュ(0で無効)10分
Auto pull interval (minutes)X分ごとに自動プル(0で無効)10分
Specify custom commit message on auto commit自動コミット時にメッセージ入力を促すOFF (無効)
Commit message on auto commit自動コミット時のメッセージテンプレートvault backup: {{date}}
Commit message on manual commit手動コミット時のメッセージテンプレート{{message}}
{{date}} placeholder format日付フォーマット指定YYYY-MM-DD HH:mm:ss
{{hostname}} placeholder replacementデバイス名の指定PC/iPhoneなど識別しやすい名前
List filenames affected by commit in the commit bodyコミットメッセージ本文に変更ファイル名を含めるON (有効)
Pull on startupObsidian起動時に自動プル実行ON (有効)
Push on commit-and-syncコミット&同期時にプッシュを実行ON (有効)
Pull on commit-and-syncコミット&同期時にプルを実行ON (有効)

表示オプション(行表示関連)

設定項目内容説明推奨設定
Show commit authoring information next to each line行ごとにコミット情報を表示好みに応じて
Show Author in History view履歴ビューで作者を表示ON (有効)
Show Date in History view履歴ビューで日付を表示ON (有効)
Automatically refresh source control view変更時にSource Controlビューを自動更新ON (PC), OFF (モバイル)

その他の設定(Miscellaneous)

設定項目内容説明推奨設定
Diff view style差分表示のスタイル(Split/Unified)Split(初心者向け)
Disable informative notificationsGit操作の通知を非表示OFF(通知を表示)
Disable error notificationsエラー通知を非表示OFF(エラーは表示)
Hide notifications for no changes変更なし通知を非表示ON(不要通知を非表示)
Show status barステータスバーを表示ON(同期状態を確認しやすい)
File menu integrationファイルメニューにGit操作を追加ON(便利機能)
Show branch status barブランチ情報をステータスバーに表示ON(現在のブランチを確認)
Show the count of modified files in the status bar変更ファイル数を表示OFF(iPhoneでは負荷軽減)

コミット作者情報

設定項目内容説明推奨設定
Author name for commitGit commitに記録される作者名GitHubユーザー名と同じ
Author email for commitGit commitに記録されるメールアドレスGitHubアカウントのメール

高度な設定(Advanced)

設定項目内容説明推奨設定
Update submodulesサブモジュールの自動更新通常は無効
Custom Git binary pathGitコマンドパスの指定通常は空白
Additional environment variablesGit用の環境変数設定通常は不要
Additional PATH environment variable pathsPATH変数の追加通常は不要
Custom base path (Git repository path)Gitリポジトリパスの指定通常は不要
Custom Git directory path.gitディレクトリの場所変更通常は不要
Disable on this device現在のデバイスでプラグインを無効化OFF(有効のまま)

3. iPhone側のセットアップ

Obsidianのインストールと基本設定

  1. App StoreからObsidianをインストール
  2. 「Create new vault」を選択しVault名を入力(任意)
  3. 「Store in iCloud」はOFFにする(重要:Gitで同期するため)

Gitプラグインのインストール

  1. 左上のサイドメニューアイコンをタップ
  2. 左上の設定アイコン(⚙️)をタップ
  3. 「Community plugins」をタップ
  4. 下にスクロールし「Turn on community plugins」ボタンをタップしONにする
  5. 「Browse」ボタンをタップ
  6. 検索欄に「Git」と入力(※「Obsidian Git」ではなく「Git」)
  7. 「Git」プラグインを選択し「Install」ボタンをタップ
  8. インストール後「Enable」ボタンをタップ、表示された「Option」ボタンをタップ

認証情報の設定

  1. スクロールし、Authentication/commit authorセクションで以下を設定:
    • Username: GitHubのユーザー名
    • Password/Personal access token: メモしておいたトークン
    • Author name for commit: 任意の名前(GitHubユーザー名推奨)
    • Author email for commit: GitHubアカウントのメール(紐付けに重要)
  2. 「←」ボタンで戻り、「×」でSettingsを閉じる

リポジトリのクローン

  1. 画面中央に「No file is open」と表示されている状態で、右下のハンバーガーメニュー(≡)をタップ
  2. 「Open command palette」を選択
  3. 検索欄に「git clone」と入力し、「Git: Clone an existing remote repo」を選択
  4. 「Enter remote URL」欄にリポジトリのHTTPS URLを入力
  5. 「done」をタップ
  6. 「Enter directory for clone…」欄が表示されたら、そのまま「done」を押すか「Vault root」をタップ
  7. 「Dose your remote repo contain a .obsidian directory?」と表示されたら:
    • リポジトリに.obsidianディレクトリがない場合は「NO」
    • リポジトリに.obsidianディレクトリがある場合は「YES」
  8. 「YES」を選択した場合、次の選択肢が表示されます:
    • 「DELETE ALL YOUR LOCAL CONFIG AND PLUGINS」: iPhone側の設定を削除してリポジトリの設定で上書き
    • 「ABORT CLONE」: クローン処理を中止
  9. 通常は「DELETE ALL YOUR LOCAL CONFIG AND PLUGINS」を選択(PC側の設定を引き継ぐため)
  10. 「Specify depth of clone. Leave empty for full」はそのまま「done」
  11. クローン処理が完了するまで待機(数秒〜数分)

4. 日常的な同期操作

Source Controlビューでの操作方法(iPhone)

  1. 右下のハンバーガーメニュー(≡)をタップで、Open Git source controlメニューが表示される

手動同期の手順(iPhone)

  1. ノートを編集後、Source Controlを開く
  2. 「+」ボタンで変更をステージ
  3. 「✓」ボタンでコミット(コミットメッセージを入力する画面が表示される)
  4. 「↑」ボタンでリモートにプッシュ

自動同期の設定確認

💡 PCとiPhoneでの認証設定の違い

PC側では:

  • PC版の設定画面には「Username」と「Password/Personal access token」フィールドが表示されない
  • PCでは、システムのGit認証を使用するため、プラグイン内での認証情報設定は不要です
  • 一度ターミナルやGitHub Desktopでの認証を済ませておくと、Obsidianからの操作でも認証情報が再利用されます

iPhone側では:

  • Personal Access Tokenが必須です
  • iPhoneのプラグイン設定で必ず「Username」と「Password/Personal access token」を設定してください
  • トークンの有効期限が切れると同期できなくなるため、期限切れ前の更新が必要です

5. トラブルシューティング

よくあるエラーと対処法

便利な使い方のヒント

  1. デバイス移動前の同期確認:
    • デバイスを切り替える前に、現在使用中のデバイスで手動同期を実行
    • 移動先のデバイスで起動時に最新状態が反映される
  2. 重要度に応じた同期方法:
    • 日常的なメモは自動同期に任せる
    • 重要な変更は手動で即時同期

まとめ

この方法を使えば、Obsidian Syncなどの有料サービスを使わずとも、PCとiPhone間でObsidianのデータを効率的に同期できます。設定は少し手間がかかりますが、一度セットアップすれば安定して動作し、変更履歴も残せる大きなメリットがあります。

とりわけGitプラグインの名称が「Obsidian Git」から「Git」に変更されている点に注意してください(2024年11月時点の情報)。

まずは簡単なメモから始めて、慣れてきたら本格的なナレッジベースの構築にも活用してみてください。

公式リソース

参考資料

本記事は下記のリソースを参考に作成しています:

  1. ObsidianをGitHubで同期する方法|亀ちゃん - note
  2. ObsidianのGit PluginでWindowsとAndroidでノートを同期方法を紹介 - Ohina Work
  3. Obsidianの同期について (Windows + iPhone) - note
  4. ObsidianをGitHubを使って複数OSで同期する方法 - Geek Freaks
  5. スマホのObsidianをGitで同期(2024.11) - Zenn
  6. PCのObsidianで作成したノートをGitHub経由でiPhoneへ同期する - Qiita
  7. Obsidian Sync を無料で使う方法! (有料プランは不要) - HackerNoon
  8. ObsidianのGitHub同期方法の詳細 - Genspark AI

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