Google I/O 2025総括:Gemini進化とXRデバイスが切り拓く新時代

2025/5/22

目次

はじめに

Googleの年次開発者会議「Google I/O 2025」が5月20日〜21日にカリフォルニア州マウンテンビューのショーライン・アンフィシアターで開催されました。今年のイベントではAIが中心テーマとなり、Geminiの進化やAndroid XRなど、多くの革新的な発表がありました。本記事では、開発者にとって重要な発表内容を詳しく解説します。

Geminiの革新的進化

Googleの主力AIモデル「Gemini」は、今回さらなる進化を遂げました。Gemini 2.5 ProとFlashモデルの両方に大幅な機能向上が見られます。

Gemini 2.5 Proの強化

Gemini 2.5 Proは、初代Gemini Proと比較してEloスコアが300ポイント以上向上し、LMArenaの全カテゴリーでリーダーボードのトップを獲得しました。特にコーディング能力が著しく向上し、WebDev Arenaでもトップの評価を得ています。

💡 Geminiのポケモンマスター化

Googleのスンダー・ピチャイCEOによると、約2週間前にGeminiが「ポケモン青」をクリアしたことが話題になりました。彼は「API、つまりArtificial Pokemon Intelligence(人工ポケモン知能)の実現に一歩近づいた」とジョークを飛ばし、会場を沸かせました。

最も注目すべき新機能は「Deep Think」モードで、複雑な数学やコーディングタスクに対して高度な推論能力を発揮します。この機能では、AIが複数の仮説を検討した上で回答を生成するとのことです。

Gemini 2.5 Flashの改善

Gemini 2.5 Flashも全体的に強化され、推論能力、マルチモーダル性、コーディング能力が向上しています。また、トークン効率が20〜30%向上したことで、より効率的なレスポンスが可能になりました。

多言語サポートとテキスト読み上げ機能

Gemini 2.5は24言語以上をサポートし、テキスト読み上げ機能と表現豊かな音声機能が追加されました。また、Live APIのプレビューバージョンでは、音声入出力対話がサポートされ、開発者はトーン、アクセント、会話スタイルをカスタマイズすることが可能になりました。

AIで進化するGoogle検索

検索体験も大きく変わります。Googleは「AI Mode」を米国で一般公開し、検索でのAI活用を加速させています。

AI Modeの主な機能

💪 AI Modeを今すぐ試すには

米国在住の場合、Labsからオプトインすることですぐにアクセスできます。

AIによるショッピング体験の革新

AIが買い物体験も変えます。自分の写真をアップロードするだけで数十億のアパレル商品を仮想試着できる機能が、米国のSearch Labsユーザーに提供開始されました。また、価格追跡機能により、希望価格で製品を購入するサポートも実現します。

Google検索のAI Overviewsは既に200の国と地域で15億人の月間ユーザーに利用されており、世界で最も多くの人々にジェネレーティブAIを提供するプロダクトになっています。

Android XRとスマートデバイスの未来

Googleは現実世界とデジタル情報を融合させるXR(拡張現実)分野にも注力しています。

スマートグラスプロトタイプ

Googleはスマートグラスのプロトタイプを公開しました。このデバイスはカメラ、マイク、スピーカー、レンズ内ディスプレイを搭載し、ユーザーが見ているものや周囲の状況をGeminiが理解し、リアルタイムでサポートを提供します。

基調講演では、このスマートグラスが現実世界でどのように役立つかのデモが行われました:

Project MoohanとXRパートナーシップ

Samsungと共同開発中の「Project Moohan」ヘッドセットも紹介されました。このデバイスはAndroid XRプラットフォームで動作し、仮想スクリーンでアプリを利用できます。

さらに、アイウェアブランドのGentle MonsterおよびWarby Parkerとの提携も発表され、ファッション性と機能性を両立したデバイスの開発が進んでいます。

AIクリエイティブツールの革新

Googleは様々なAI創作ツールも発表しました。特に注目されるのは以下の3つです:

ツール機能特徴
Imagen 4AIイメージ生成精度と表現力が向上
Veo 3AIビデオ生成物理法則の理解と表現が可能
FlowAI映画製作Imagen、Veo、Geminiを組み合わせ、テキストから映像シーンを生成

📢 物理法則を理解するAI

GoogleのVeoは物理法則と物体の相互作用を深く理解し、Gemini Roboticsはロボットが環境に適応して操作・移動できることを示しています。この「世界モデル」の概念は、あらゆるデバイスでコンテキストを理解し、ユーザーに代わって計画・行動できるAIの基盤となります。

Gemini Ultraサブスクリプション

Googleは最高レベルのAIアクセスを提供する「Gemini Ultra」サブスクリプションを米国で開始しました。月額$249.99で、以下の特典が含まれます:

技術基盤の進化

GoogleのAI進化を支える技術基盤も大きな進化を遂げています。特に第7世代TPU「Ironwood」は、前世代の10倍のパフォーマンスを実現し、AIワークロード処理用に特別設計されました。1ポッドあたり驚異の42.5エクサフロップスの計算能力を持ち、より高速かつ効率的なモデル運用を可能にしています。

Googleは、インフラストラクチャの強みを活かし、モデルの価格が大幅に下がる中でも、最もコスト効率の良いAIモデルの提供を実現しています。

まとめ

Google I/O 2025では、AIとXRを中心に多くの革新的な発表がありました。特にGeminiの進化はAI業界をリードする存在として注目されます。また、Android XRとスマートグラスは、現実世界とデジタル情報の融合という新しいパラダイムへの移行を示唆しています。

これらの技術の進化により、開発者には新たな可能性が広がります。Gemini APIの活用やAndroid XRプラットフォームでのアプリ開発など、新たなチャレンジに挑戦する絶好の機会となるでしょう。

💡 次回のGoogle I/Oは?

Google I/O 2026の日程はまだ発表されていませんが、例年通り5月頃の開催が予想されます。

参考文献(References)

公式リソース(Official Resources)

参考サイト(Reference Sites)

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