目次
- - はじめに
- - 2025年のCSSリセットの必要性
- - モダンブラウザ時代の変化
- - ブラウザのデフォルトスタイルとは
- - モダンブラウザの標準スタイルの変化
- - H1要素のデフォルトスタイル変更
- - CSS機能の標準化進展
- - 推奨リセットCSSの紹介
- - Josh’s Custom CSS Reset
- - A (more) Modern CSS Reset
- - The New CSS Reset
- - 旧来手法との違い
- - 従来のリセット手法の問題点
- - revertキーワードの活用
- - 実装時の注意点
- - パフォーマンスへの配慮
- - ブラウザサポートの確認
- - 実装順序の重要性
- - フォールバック戦略
- - まとめ
- - 出典
- - 公式リソース(Official Resources)
- - 参考サイト(Reference Sites)
はじめに
Web開発において、ブラウザ間のスタイル差異を解消するために長らく使われてきたCSSリセットですが、2025年現在、その必要性や手法が大きく変化しています。
IE11のサポート終了から3年が経ち、Chrome、Edge(Chromium版)、Safari、Firefoxといったエバーグリーンブラウザが主流となった現在、従来の「すべてをリセットする」アプローチは時代遅れとなりました。
この記事では、2025年のモダンブラウザ環境に最適化されたCSSリセット手法を、最新のベストプラクティスと併せて解説します。パフォーマンスとアクセシビリティを両立させながら、効率的な開発を実現する方法をご紹介します。
2025年のCSSリセットの必要性
モダンブラウザ時代の変化
2025年現在、CSSにおけるブラウザの互換性問題は、IE6時代に比べてはるかに少なくなりました。主要ブラウザがWeb標準に準拠し、自動アップデート機能を持つエバーグリーンブラウザとなったことで、ブラウザ間の差異は大幅に縮小しています。
2025年の現状
モダンブラウザをターゲットにしたWeb制作では、リセットCSS自体が必要ないかもしれません。しかし、設定しておきたいスタイルや一部のブラウザ用に設定しておきたいスタイルはまだ存在します。
ブラウザのデフォルトスタイルとは
各ブラウザは独自のユーザーエージェントスタイルシート(User Agent Stylesheet)を持っています。これは、Web制作者がスタイルを指定していなくても、コンテンツを読みやすく表示するためのデフォルトCSSです。
/* ブラウザのデフォルトスタイル例 */h1 { font-size: 2em; margin: 0.67em 0; font-weight: bold;}
p { margin: 1em 0;}
ul { margin: 1em 0; padding-left: 40px; list-style-type: disc;}
問題は、ChromeやSafariなどのブラウザ間でデフォルトスタイルに微細な違いがあることです。サイト制作者としては、ブラウザごとに余白やフォントサイズが変わってしまうと困るため、これらの差異を埋める目的でCSSリセットが使われています。
モダンブラウザの標準スタイルの変化
H1要素のデフォルトスタイル変更
2025年現在、各ブラウザでネストされた見出し要素(h1)のデフォルトUAスタイルが変更される動きがあります。この変更により、従来のh1要素の表示が段階的に変わる可能性があります。
注意点
ブラウザのUAスタイルに依存してスタイルを適用している場合、意図しない表示変更が発生する可能性があります。定期的な確認とメンテナンスが必要です。
CSS機能の標準化進展
モダンブラウザでは、以下のような新しいCSS機能が標準化されています:
- CSS Grid Layout: 複雑なレイアウトの簡単実装
- Flexbox: 柔軟なボックスレイアウト
- CSS Custom Properties: 変数による効率的なスタイル管理
- Container Queries: コンテナサイズベースのレスポンシブデザイン
これらの機能により、従来リセットCSSで対処していた問題の多くが、より効率的に解決できるようになりました。
推奨リセットCSSの紹介
Josh’s Custom CSS Reset
最近のデバイス・モダンブラウザの仕様に対応したモダンリセットCSSとして注目されているのが、Josh’s Custom CSS Resetです。
/* Josh's Custom CSS Reset */*, *::before, *::after { box-sizing: border-box;}
* { margin: 0;}
@media (prefers-reduced-motion: no-preference) { html { interpolate-size: allow-keywords; }}
body { line-height: 1.5; -webkit-font-smoothing: antialiased;}
img, picture, video, canvas, svg { display: block; max-width: 100%;}
input, button, textarea, select { font: inherit;}
p, h1, h2, h3, h4, h5, h6 { overflow-wrap: break-word;}
p { text-wrap: pretty;}
h1, h2, h3, h4, h5, h6 { text-wrap: balance;}
#root, #__next { isolation: isolate;}
A (more) Modern CSS Reset
従来の「A Modern CSS Reset」をさらにモダンブラウザ向けに最適化したバージョンです:
/* A (more) Modern CSS Reset */*, *::before, *::after { box-sizing: border-box;}
html { -moz-text-size-adjust: none; -webkit-text-size-adjust: none; text-size-adjust: none;}
body, h1, h2, h3, h4, p, figure, blockquote, dl, dd { margin: 0;}
ul[role='list'], ol[role='list'] { list-style: none;}
body { min-height: 100vh; line-height: 1.5;}
h1, h2, h3, h4, button, input, label { line-height: 1.1;}
h1, h2, h3, h4 { text-wrap: balance;}
a:not([class]) { text-decoration-skip-ink: auto; color: currentColor;}
img, picture { max-width: 100%; display: block;}
input, button, textarea, select { font: inherit;}
textarea:not([rows]) { min-height: 10em;}
:target { scroll-margin-block: 5ex;}
The New CSS Reset
displayプロパティを除いて、ブラウザから取得されるデフォルトスタイルを使用したくないという目的に基づいて構築されたリセットCSSです:
/* The new CSS reset - version 1.11.3 */*:where(:not(html,iframe,canvas,img,svg,video,audio):not(svg *,symbol *)) { all: unset; display: revert;}
*, *::before, *::after { box-sizing: border-box;}
html { -moz-text-size-adjust: none; -webkit-text-size-adjust: none; text-size-adjust: none;}
a, button { cursor: revert;}
ol, ul, menu, summary { list-style: none;}
img { max-inline-size: 100%; max-block-size: 100%;}
table { border-collapse: collapse;}
input, textarea { -webkit-user-select: auto;}
textarea { white-space: revert;}
::placeholder { color: unset;}
旧来手法との違い
従来のリセット手法の問題点
全称セレクタによる一括リセットは、長年広く使用されてきましたが、現在では非推奨とされています:
/* 非推奨:従来のリセット手法 */* { margin: 0; padding: 0; box-sizing: border-box;}
html, body, div, span /* ... */ { margin: 0; padding: 0; border: 0;}
この手法の問題点:
- アクセシビリティの損失: フォームやテーブルなどの有用なデフォルトスタイルを無効化
- パフォーマンス影響: ブラウザの最適化を無効化
- 保守性の低下: 将来のブラウザアップデートへの対応困難
revertキーワードの活用
モダンCSSでは、revert
キーワードを使用してブラウザのデフォルトスタイルに戻すことが可能です:
/* revertを使用したスタイルリセット */.content h1, .content h2, .content h3 { all: revert;}
/* 特定プロパティのみリセット */.reset-margin { margin: revert;}
手法 | 利点 | 欠点 |
---|---|---|
従来のリセット | シンプル、広範囲 | アクセシビリティ損失、過度なリセット |
モダンリセット | 必要最小限、パフォーマンス重視 | カスタマイズが必要 |
revertキーワード | 柔軟性、ブラウザ最適化維持 | ブラウザサポート要確認 |
実装時の注意点
パフォーマンスへの配慮
リセットCSSのコード量が多いと、ページの読み込み速度に影響する可能性があります。2025年のベストプラクティスでは、以下の点に注意します:
パフォーマンス最適化
- 使用しないHTML要素に対するスタイルは削除
- 必要最小限のリセットに留める
- CDN経由での読み込みを検討
- ファイルサイズの定期的な確認
ブラウザサポートの確認
新しいCSS機能を使用する際は、対象ブラウザでのサポート状況を確認しましょう:
/* prefers-reduced-motionのサポート確認 */@supports (prefers-reduced-motion: reduce) { @media (prefers-reduced-motion: reduce) { *, *::before, *::after { animation-duration: 0.01ms !important; animation-iteration-count: 1 !important; transition-duration: 0.01ms !important; } }}
実装順序の重要性
リセットCSSは必ずメインのスタイルシートより前に読み込む必要があります:
<!DOCTYPE html><html><head> <!-- リセットCSSを最初に読み込み --> <link rel="stylesheet" href="reset.css"> <!-- メインCSSを後から読み込み --> <link rel="stylesheet" href="style.css"></head></html>
読み込み順序に注意
メインCSSより後にリセットCSSを読み込むと、せっかく作成したデザインがリセットされてしまいます。
フォールバック戦略
モダンブラウザ向けの機能を使用する際は、古いブラウザ向けのフォールバックも考慮します:
/* フォールバック例 */.element { /* 古いブラウザ向け */ margin: 1rem 0;}
@supports (text-wrap: balance) { .element { /* モダンブラウザ向け */ text-wrap: balance; margin: 0.8rem 0; }}
まとめ
2025年のCSSリセットは、従来の「すべてをリセットする」アプローチから、「必要最小限のリセット」へとパラダイムシフトしています。モダンブラウザの普及により、ブラウザ間の差異は大幅に縮小し、パフォーマンスとアクセシビリティを重視したアプローチが主流となりました。
推奨される2025年のアプローチ:
- Josh’s Custom CSS ResetまたはA (more) Modern CSS Resetの採用
- 使用しない要素のスタイルは削除してカスタマイズ
revert
キーワードの積極的活用- パフォーマンスとアクセシビリティへの配慮
- 定期的なメンテナンスとブラウザサポート確認
これらのベストプラクティスを実践することで、2025年のモダンブラウザ環境において、効率的で保守性の高いWeb開発を実現できるでしょう。
出典
公式リソース(Official Resources)
参考サイト(Reference Sites)
- 2025年、現在の環境に適したリセットCSSのまとめ - コリス
- Web制作者は要チェック! ネストされたh1要素のデフォルトのUAスタイルがすべてのブラウザで変更されます - コリス
- What Happens When You Combine a CSS Reset with clamp()? - Design Systems Collective
- 2025年リセットCSSとは?おすすめやCDNも - reset css
- 最新のリセットCSSの種類と特徴 - Qiita
- ブラウザ間での表示のズレを解消するリセットCSS - インターネット・アカデミー
- リセットCSSとは?Webサイトの見た目を整える基本テクニック
- Making the case for CSS normalize and reset stylesheets in 2023
- リセットCSSとは?定義・選び方など - HRソリューションズ
- 【2025年保存版】モダンCSSに移行すべき6つの古い書き方
- リセットCSS比較 - 吉川ウェブ
- What is the difference between Normalize.css and Reset CSS? - Stack Overflow
- CSSの「revert」でスタイルリセット!要素を初期状態に戻すテクニックを徹底解説
- CSSは、何があっても責任を持つつもりで組め|BLUE B NOSE - note
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