CSSリセット2025年版・モダンブラウザ向け最適な設定方法

2025/6/3

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目次

はじめに

Web開発において、ブラウザ間のスタイル差異を解消するために長らく使われてきたCSSリセットですが、2025年現在、その必要性や手法が大きく変化しています。

IE11のサポート終了から3年が経ち、Chrome、Edge(Chromium版)、Safari、Firefoxといったエバーグリーンブラウザが主流となった現在、従来の「すべてをリセットする」アプローチは時代遅れとなりました。

この記事では、2025年のモダンブラウザ環境に最適化されたCSSリセット手法を、最新のベストプラクティスと併せて解説します。パフォーマンスとアクセシビリティを両立させながら、効率的な開発を実現する方法をご紹介します。

2025年のCSSリセットの必要性

モダンブラウザ時代の変化

2025年現在、CSSにおけるブラウザの互換性問題は、IE6時代に比べてはるかに少なくなりました。主要ブラウザがWeb標準に準拠し、自動アップデート機能を持つエバーグリーンブラウザとなったことで、ブラウザ間の差異は大幅に縮小しています。

📢 2025年の現状

モダンブラウザをターゲットにしたWeb制作では、リセットCSS自体が必要ないかもしれません。しかし、設定しておきたいスタイルや一部のブラウザ用に設定しておきたいスタイルはまだ存在します。

ブラウザのデフォルトスタイルとは

各ブラウザは独自のユーザーエージェントスタイルシート(User Agent Stylesheet)を持っています。これは、Web制作者がスタイルを指定していなくても、コンテンツを読みやすく表示するためのデフォルトCSSです。

/* ブラウザのデフォルトスタイル例 */
h1 {
font-size: 2em;
margin: 0.67em 0;
font-weight: bold;
}
p {
margin: 1em 0;
}
ul {
margin: 1em 0;
padding-left: 40px;
list-style-type: disc;
}

問題は、ChromeやSafariなどのブラウザ間でデフォルトスタイルに微細な違いがあることです。サイト制作者としては、ブラウザごとに余白やフォントサイズが変わってしまうと困るため、これらの差異を埋める目的でCSSリセットが使われています。

モダンブラウザの標準スタイルの変化

H1要素のデフォルトスタイル変更

2025年現在、各ブラウザでネストされた見出し要素(h1)のデフォルトUAスタイルが変更される動きがあります。この変更により、従来のh1要素の表示が段階的に変わる可能性があります。

⚠️ 注意点

ブラウザのUAスタイルに依存してスタイルを適用している場合、意図しない表示変更が発生する可能性があります。定期的な確認とメンテナンスが必要です。

CSS機能の標準化進展

モダンブラウザでは、以下のような新しいCSS機能が標準化されています:

これらの機能により、従来リセットCSSで対処していた問題の多くが、より効率的に解決できるようになりました。

推奨リセットCSSの紹介

Josh’s Custom CSS Reset

最近のデバイス・モダンブラウザの仕様に対応したモダンリセットCSSとして注目されているのが、Josh’s Custom CSS Resetです。

/* Josh's Custom CSS Reset */
*, *::before, *::after {
box-sizing: border-box;
}
* {
margin: 0;
}
@media (prefers-reduced-motion: no-preference) {
html {
interpolate-size: allow-keywords;
}
}
body {
line-height: 1.5;
-webkit-font-smoothing: antialiased;
}
img, picture, video, canvas, svg {
display: block;
max-width: 100%;
}
input, button, textarea, select {
font: inherit;
}
p, h1, h2, h3, h4, h5, h6 {
overflow-wrap: break-word;
}
p {
text-wrap: pretty;
}
h1, h2, h3, h4, h5, h6 {
text-wrap: balance;
}
#root, #__next {
isolation: isolate;
}

A (more) Modern CSS Reset

従来の「A Modern CSS Reset」をさらにモダンブラウザ向けに最適化したバージョンです:

/* A (more) Modern CSS Reset */
*, *::before, *::after {
box-sizing: border-box;
}
html {
-moz-text-size-adjust: none;
-webkit-text-size-adjust: none;
text-size-adjust: none;
}
body, h1, h2, h3, h4, p, figure, blockquote, dl, dd {
margin: 0;
}
ul[role='list'], ol[role='list'] {
list-style: none;
}
body {
min-height: 100vh;
line-height: 1.5;
}
h1, h2, h3, h4, button, input, label {
line-height: 1.1;
}
h1, h2, h3, h4 {
text-wrap: balance;
}
a:not([class]) {
text-decoration-skip-ink: auto;
color: currentColor;
}
img, picture {
max-width: 100%;
display: block;
}
input, button, textarea, select {
font: inherit;
}
textarea:not([rows]) {
min-height: 10em;
}
:target {
scroll-margin-block: 5ex;
}

The New CSS Reset

displayプロパティを除いて、ブラウザから取得されるデフォルトスタイルを使用したくないという目的に基づいて構築されたリセットCSSです:

/* The new CSS reset - version 1.11.3 */
*:where(:not(html,iframe,canvas,img,svg,video,audio):not(svg *,symbol *)) {
all: unset;
display: revert;
}
*, *::before, *::after {
box-sizing: border-box;
}
html {
-moz-text-size-adjust: none;
-webkit-text-size-adjust: none;
text-size-adjust: none;
}
a, button {
cursor: revert;
}
ol, ul, menu, summary {
list-style: none;
}
img {
max-inline-size: 100%;
max-block-size: 100%;
}
table {
border-collapse: collapse;
}
input, textarea {
-webkit-user-select: auto;
}
textarea {
white-space: revert;
}
::placeholder {
color: unset;
}

旧来手法との違い

従来のリセット手法の問題点

全称セレクタによる一括リセットは、長年広く使用されてきましたが、現在では非推奨とされています:

/* 非推奨:従来のリセット手法 */
* {
margin: 0;
padding: 0;
box-sizing: border-box;
}
html, body, div, span /* ... */ {
margin: 0;
padding: 0;
border: 0;
}

この手法の問題点:

revertキーワードの活用

モダンCSSでは、revertキーワードを使用してブラウザのデフォルトスタイルに戻すことが可能です:

/* revertを使用したスタイルリセット */
.content h1, .content h2, .content h3 {
all: revert;
}
/* 特定プロパティのみリセット */
.reset-margin {
margin: revert;
}
手法利点欠点
従来のリセットシンプル、広範囲アクセシビリティ損失、過度なリセット
モダンリセット必要最小限、パフォーマンス重視カスタマイズが必要
revertキーワード柔軟性、ブラウザ最適化維持ブラウザサポート要確認

実装時の注意点

パフォーマンスへの配慮

リセットCSSのコード量が多いと、ページの読み込み速度に影響する可能性があります。2025年のベストプラクティスでは、以下の点に注意します:

💪 パフォーマンス最適化

  • 使用しないHTML要素に対するスタイルは削除
  • 必要最小限のリセットに留める
  • CDN経由での読み込みを検討
  • ファイルサイズの定期的な確認

ブラウザサポートの確認

新しいCSS機能を使用する際は、対象ブラウザでのサポート状況を確認しましょう:

/* prefers-reduced-motionのサポート確認 */
@supports (prefers-reduced-motion: reduce) {
@media (prefers-reduced-motion: reduce) {
*,
*::before,
*::after {
animation-duration: 0.01ms !important;
animation-iteration-count: 1 !important;
transition-duration: 0.01ms !important;
}
}
}

実装順序の重要性

リセットCSSは必ずメインのスタイルシートより前に読み込む必要があります:

<!DOCTYPE html>
<html>
<head>
<!-- リセットCSSを最初に読み込み -->
<link rel="stylesheet" href="reset.css">
<!-- メインCSSを後から読み込み -->
<link rel="stylesheet" href="style.css">
</head>
</html>

⚠️ 読み込み順序に注意

メインCSSより後にリセットCSSを読み込むと、せっかく作成したデザインがリセットされてしまいます。

フォールバック戦略

モダンブラウザ向けの機能を使用する際は、古いブラウザ向けのフォールバックも考慮します:

/* フォールバック例 */
.element {
/* 古いブラウザ向け */
margin: 1rem 0;
}
@supports (text-wrap: balance) {
.element {
/* モダンブラウザ向け */
text-wrap: balance;
margin: 0.8rem 0;
}
}

まとめ

2025年のCSSリセットは、従来の「すべてをリセットする」アプローチから、「必要最小限のリセット」へとパラダイムシフトしています。モダンブラウザの普及により、ブラウザ間の差異は大幅に縮小し、パフォーマンスとアクセシビリティを重視したアプローチが主流となりました。

推奨される2025年のアプローチ:

これらのベストプラクティスを実践することで、2025年のモダンブラウザ環境において、効率的で保守性の高いWeb開発を実現できるでしょう。


出典

公式リソース(Official Resources)

参考サイト(Reference Sites)

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